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『日本資本主義発達史講座』趣意書 - 野呂 栄太郎 ( のろ えいたろう )

  • 古書≪森鴎外集≫7 青年、舞姫他 【 森鴎外】河出書房 貴重 初版
  • 「森鴎外私論」吉野俊彦 森鴎外評論-批評-書籍・10冊 N21681
  • 岩波文庫1675昭和41年/阿部一族他二編森鴎外 岩波書店
  • 600円~ 岩波文庫【青年】森鴎外 (プチソフト1)
  • ◆◇森鴎外著「舞姫・山椒大夫  他四篇」(旺文社文庫)◇◆
  • ◆◇ 森鴎外著「青年」(新潮文庫) ◇◆  名著! 
  • ◆◇森鴎外著「舞姫・うたかたの記  他三篇」(岩波文庫)◇◆
  • ◆新品DVD★『NHK 名作の風景 8』森鴎外 正岡子規 夏目漱石1円
  • 森鴎外 高瀬舟・高瀬舟縁起・寒山捨得・寒山捨得縁起 CD 未開封
  • 森鴎外 舞姫 雁 井上靖 訳編 明治の古典8 初版
 世界経済恐慌の発展は全資本主義体制の、従ってまた日本資本主義制度の根底を揺り動かしている。資本主義一般危機の先鋭化、その上に進行しつつある恐慌の破局的深刻化、国際的諸対立の脅威的緊張、そして階級対立闘争の不可両立的激化――すべてこれらの、もはや蔽(おお)わんとして蔽(おお)いがたき事態の急激なる悪化は、支配階級及びその代弁者どもをして今さらのように国難来を叫ばしむるにいたった。曰く経済国難! 曰く思想国難! 曰く建国以来未曽有の国難!
 急迫せる情勢に転倒せる帝国主義者の脳裏には、恐らく戦争ファシズム以外の考えは浮かび得ないであろう。しかしながら、経済的発展の行詰まり、政治支配の動揺、社会情勢の不安等々の解決は、かかる一連の事態の変化必然にし、不可避にしたところの根本矛盾を究(きわ)めることなしには、問題解決の糸口をつかむことこそ不可能であろう。日本資本主義成立の歴史を顧み、その矛盾に満ちた発展の諸特質を究めることは、それゆえに、日本資本主義が当面せる諸問題根本解決の道を見出すべき鍵である。本講座はこの鍵を提供せんとするものである。
 かかる緊切なる当面の要求に応じて生まれた本講座は、歴史事実の単なる羅列(られつ)、説明をもって能事おわれりとするものではない。いわんや、何らかの成心をもってあえて事実虚構するがごときは、本講座執筆者とはまったく無縁である。われわれの期するところは歴史解釈ではなくしてその変革である。歴史を変革するとは、過去歴史事実を改変することではなくして、未来歴史創造することである。だが、われわれはそれを勝手に創ることはできない。すでに与えられたる一定の諸条件に基づいてのみ、歴史の変革も創造可能にせられ、問題の真の解決は期待し得るであろう。
 特に問題解決のかかる諸条件明らかにせんがために、日本資本主義発達の諸条件、その本質的諸特徴、その基本的諸矛盾を全面的に分析し、根本的に究明することは、もとより一人の能(よ)くするところでない。といってもちろん、多数のいわゆる歴史家たちの研究に任せ得る問題でもない。本講座は、今日この問題の真の解決のために協力し得るほとんど大部分の研究家参加を得た。それは文字通り、約三十名の執筆者共同労作である。各執筆者研究は、それぞれの範囲内では各自の創意を十二分に発揮しながらも、あくまで全体の緊密なる構成部分を成している。
 本講座は、今日世に問い得る限りにおいて、日本資本主義の最も包括的な科学研究であり、その本質矛盾の最も根本的な分析である。しかも、われわれが当面せる諸問題根本解決のためには、本講座はわずかに解決の鍵を提供するにすぎない。われわれは、日本資本主義危機からの革命的活路を身をもって切り開かんとする多数読者の積極的努力によって、始めてさらに完成せらるべきことを期待する。社会矛盾の中に真理を求め資本主義社会の発展の法則を究明せんとする一般諸君の検討を待望しつつ、あえて本講座を世に問わんとする所以である。
――一九三二年六月――



底本:「野呂栄太郎全集 下」新日本出版社
   1994(平成6)年12月5日初版発行
入力山田
校正:川向直樹
2004年2月18日作成
青空文庫作成ファイル
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