ジャン・クリストフ 04 第二巻 朝 関連リンク

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ジャン・クリストフ 04 第二巻 朝 - ロラン ロマン ( )

  • ソングライター ウィリーネルソン クリスクリストファーソン
  • ●新品●コミュニオン 遭遇 主演:クリストファー・ウォーケン
  • 廃盤●ジェニファー8●音楽:クリストファー・ヤング
  • 「フランス・クリストフル 銀仕上 重厚な ペーパーナイフ」 箱付
  • ★ジャンクリストフ3/ロマンロラン豊島与志雄昭和38年岩波文庫
  • ★ジャンクリストフ2/ロマンロラン豊島与志雄昭和37年岩波文庫
  • ★ジャンクリストフ1/ロマンロラン豊島与志雄昭和37年岩波文庫
  • ★ジャンクリストフ8/ロマンロラン豊島与志雄昭和38年岩波文庫
  • SAINT CHRISTOPHER セントクリストファー☆アンクレット☆ピンク
  • 【映画パンフ】スーパーマン3/クリストファー・リーブ
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ジャン・クリストフ JEAN CHRISTOPHE 第二巻 朝 ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳      一 ジャン・ミシェルの死  三か年過ぎ去った。クリストフ十一歳になりかけている。彼はなおつづけて音楽教育受けている。フロリアン・ホルツェルについて和声(ハーモニー)を学んでいる。これはサン・マルタンのオルガニストで、祖父友人であったが、いたって学者で、クリストフが最も好んでいる和音、やさしく耳と心とをなでてくれて、それを聞けばかすかな戦慄(せんりつ)が背筋に走るのを禁じえない種々の和声は、いけないもので禁じられてるものだと教えてくれる。クリストフがその理由を尋ねると、規則で禁じられてるからという以外には、彼はなんとも答えない。クリストフは生来わがままな子だから、そういうものがなおさら好きになる。人に崇拝されてる大音楽家作品中にその実例を見出すのを喜びとして、それを祖父教師かのところへもってゆく。すると祖父は、大音楽家作品中ではかえってりっぱになるのであって、ベートーヴェンやバッハなら何をしても構わないと答える。教師の方はそれほど妥協的でないから、機嫌(きげん)を悪くして、それは彼らの作品のうちのいいものではないと苦々(にがにが)しく言う。
 クリストフ音楽会劇場にはいることができる。どの楽器でも鳴らすことを覚えている。すでにヴァイオリンにかけてはりっぱな腕前をもっている。父は管弦楽隊中の一席を彼に与えてもらおうと考えついた。クリストフはりっぱにその役目を勤めたので、数か月の見習の後、宮廷音楽団の第二ヴァイオリニストに公然と任命された。かくて彼は自活し始めてゆく。それも早過ぎるわけではない。なぜなら、家の事情はますます悪くなっているから。メルキオルの放縦はいっそうはなはだしくなっていたし、祖父は年をとっていた。
 クリストフは悲しい情況をよく承知している。彼はもう大人じみた真面目(まじめ)な心配そうな様子をしている。彼は職務にほとんど興味を見出していないけれども、また晩には奏楽席で眠くなることもあるけれど、勇気を出してやってのけている。芝居からはもはや、昔の小さい時のような感興を与えられない。まだ小さかった時――四年以前――彼の最上の望みは、今のその席を占めることであった。ところが今では、ひかせられる音楽大部分は嫌いである。まだそれらの音楽にたいする批評をまとめあげるほどではないが、しかし心の底では、馬鹿らしいものだと思っている。そして偶然りっぱなものが演奏される時には、人々の愚直な演奏に不満を覚ゆる。彼が最も好きな作品も、ついには管弦楽団仲間の人たちに似寄ってくる。彼らは、幕が降りて、吹き立てたり引っかき回したりすることを終えると、一時間体操でもしたかのように、微笑しながら汗を拭(ふ)いて、つまらないことを平然と語り合うのである。彼はまた、昔の恋人を、素足金髪の歌女(うたいめ)を、すぐ眼の前に見かける。幕間食堂でしばしば出会う。彼女は以前彼から想(おも)われたことを知っていて、喜んで抱擁してくれる。けれど彼は少しも嬉(うれ)しくない。その臙脂(えんじ)や、香りや、太い腕や、貪食(どんしょく)やで、厭(いや)になっている。今ではたいへん嫌いになっている。
 大公爵はその常任ピアニストを忘れてはいなかった。といって、この肩書にたいして与えられる僅少(きんしょう)な給料が、正確に支払われたというのではない――毎度それを請求しなければならなかった――しかし、時々、官邸に著名な賓客がある時や、また単に、大公爵夫妻演奏を聞きたいと思いつく時に、クリストフ官邸に伺候(しこう)するようにとの命令受けた。たいてい晩のことで、クリストフ一人きりでいたいと思う時刻だった。彼は万事を投げ出して大急ぎで行かなければならなかった。時とすると、晩餐がまだ済んでいないので、控室に待たされることもあった。従僕らは彼を見慣れていて、親しげに話しかけた。それから彼は、鏡と燈火がいっぱいの客間に案内された。そこで彼は、様子ぶった人々から、癪(しゃく)にさわるほどじろじろ眺められた。大公爵夫妻の手に接吻しに行くために、蝋(ろう)引きしすぎたその室を横ぎらなければならなかった。彼は大きくなればなるほどますます無作法になっていた。なぜなら、自分が滑稽(こっけい)なような気がして、自尊心が傷つけられるのだったから。
 それから彼はピアノについた。そして馬鹿者ども――そう彼は賓客らを判断していた――のために演奏しなければならなかった。そして時々、周囲の人々の無関心さに不快を感じて、楽曲の真中でぴたりとやめたいほどだった。まわりに空気が不足していた。


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