劇場と作者 関連リンク

岸田 国士 のオススメ作品

作家別索引

作品別索引

劇場と作者 - 岸田 国士 ( きしだ くにお )

  • カックラキン大劇場in中日劇場SKE48 AKB48篠田 8/7
  • ☆劇場版 仮面ライダー響鬼 劇場公開記念 リアル重塗装版☆
  • ■忍風戦隊ハリケンジャー 劇場劇場HGシリーズ3体 ガシャポン
  • 劇場版「ツバサ・クロニクル」「XXXHOLiC」劇場限定プラ製カード
  • エヴァンゲリヲン 新劇場版:破 DVD 初回特典 劇場上映生フィルム
  • ★新品★劇場版スレイヤーズ★ごうじゃす★劇場版ポスター★
  • 即決☆劇場版BLEACH ブリーチ 地獄篇 劇場版ストラップ 全6種②
  • ☆国立文楽劇場/劇場と文楽人形 シート☆
  • TRICKトリック劇場版/TRICKトリック劇場版2上田次郎山田奈緒子
  • ☆冨樫義博『劇場版・幽遊白書』(93年)☆劇場ポスター緑
次のページ
岸田國士  一代の人気女優、ド・リュジイ嬢は、給料問題で、作者にも金を払はなければならないと云ふことを聞いて、「何だつて。一体作者なんて云ふものを、なしにするわけには行かないかね」と、やつつけた。ラ・カメラニイ夫人もまた、オペラ座化粧部屋に納つて、「作者なんぞゐるうちは、芝居の繁昌するわけはない」と宣言した。それが、仏蘭西のことである。しかも、そんなに旧いことではない。
 モリエール、マリヴォオを先輩と仰ぐ仏蘭西劇作家である。それくらゐのことを云はれても腹は立てまい。まして、相手は男に非ず。たゞ、さう云はれながらも、書いたものが舞台上り舞台に上つたものが相当の金になり、金にならずとも、いくらか見てくれ手があればまだいゝのであるが、実際さうなるまでの手数が大変である。先づ脚本書く、勿論傑作である。成る可くなら原稿タイプライタアで打つ。人に打たせるなら、それは大抵、若い女だ。批評の悪からう筈はない。原稿は、自分で持つて行くよりも「彼女」に持つて行かせた方がいゝ。なぜなら、劇場門番は、おほかた無名の天才に対して冷酷だからである。反感さへ持つてゐるらしい。「これをどうぞ」「今、大将は忙しいんだがなあ」「こつちは別に急ぎませんから」門番はにやりと笑ふのである。四十日経つと、返事を聞きに行くのである。勿論、原稿を返して貰ひに行くのと同じことである。「まだ見てなさうですが、もつとお預りして置きますか、それとも持つてお帰りになりますか」――持つて帰りますと云ふ元気ありや。「わが原稿は眠れり」――無名作家の嘆声である。脚本原稿劇場に持ち込むときまつてゐる。雑誌社なぞでは受けつけてくれない。(ミュッセは大方その戯曲舞台に掛けないつもりで雑誌発表した)
「あゝ、××さんですか、お作を拝見しました。結構だと思ひますが、あの第三幕ですがね」劇場主の注文が出る。
 然し、こゝまで漕ぎつければ、もう占めたものである。占めたと云ふ意味は、つまり、為事にありついたわけである。
 そこで、劇場主との間に契約が結ばれる。上演は受附順と云ふきまりになつてゐるが、なかなかその通りに行かない。延ばされても苦情は云へないやうになつてゐる。損害賠償を要求するにも理由が成立しないからである。
 此辺の交渉は、どうしても作者単独では駄目である。まして、上演はするが金は出せないと云ふ劇場主に対して、出せ出さぬの押問答は無益である。コルネイユ自作の上演料だけで生活出来なかつた。その後、上演料に関する劇場の内規が出来はしたが、勿論、俳優殊に劇場主本位のものである。十七世紀末勅令によつて作者に支払ふべき上演料を決めたが、多くの例外規則出来て、作者は常に虐待され勝ちであつた。
 此の状態から劇作家を救つたのが、「フィガロの結婚」の作者、ボオマルシェである。彼は宣言した。「成るほど、名誉は有難い。然し、その名誉を、たつた一年間背負ふために、三百六十五日、飯を食はなければならないことを忘れて貰つては困る。軍人裁判官が、堂々と俸給を貰ふのに、どうしてミュウズの情人どもは、パン屋勘定に苦しめられながら、役者たちと金の談判が出来ないのだ」一七七七年、デュラの後援を得て、劇作家協会を設立した。ディドロは、その隠退所から盛に声援したものである。
 劇作家利権は、漸次法律によつて擁護されるやうになり、例へば、上演料も、作者生存中支払ふべき規定が、作者の死後十年間、遺族がこれを受くべきことに改正され、次で、それが五十年まで延ばされるに至つた。処で、五十年後は、如何なる作品も公衆の所有に帰するわけであるが、それもなほ、現存作家の利害問題に関すると云ふので、一代議士は、先年、五十年以上を経過した作品と雖も、その上演料(或は印税)は文芸奨励資金として事業家より徴収すべき法律案を提出した。
 五十年と云ふ作家遺族利権は、屡々、論議されたが、その長きに過ぐと云ふ説に反対して、「文学者の子孫は、概して、父祖の精神過労による健康上の影響受けて、生活能力の微弱なことが統計上示されてゐる。従つて、父祖の恩恵蒙るべき期間は、他の場合と同一に視てはならない。」と云ふ社会的主張が勝を制したと云はれてゐる。
 そこで、上演料に関する現行規定であるが、実際は、各契約に於いて協定されるので、作品価値、殊に作者の名によつて、更に劇場の性質によつて差異がある。たゞ、あくまでも、一興行収入純益に非ず)の歩合制度を守つてゐる。その歩合は、八乃至一八パーセントの間を上下してゐる。


次のページ

岸田 国士 (きしだ くにお) 以外のオススメ作品

劇場と作者 (げきじょうとさくしゃ) のリンク元

「劇場と作者-岸田 国士」の関連ページ


関連ページ
Web Services by Yahoo! JAPAN