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南蛮寺門前 - 木下 杢太郎 ( きのした もくたろう )

  • 南蛮鬼の腕花瓶 口かけ 古南蛮?古琉球?
  • ■夢■s18 中里太亀作 唐津南蛮徳利
  • 南蛮阿房第2列車/阿川弘之/文庫/後払い メール便
  • ★☆ 阿川弘之 南蛮阿房列車(新潮文庫)
  • 耳付き南蛮焼締め壺
  • 【蔵出】■京時代蒔絵印籠■蝉に南蛮(とうもろこし)夏風物■
  • [公売]沖縄 壺屋 酒壺 南蛮
  • [公売]沖縄 手桶花入 南蛮
  • 唐津南蛮徳利 中里 隆(造)共箱 新宿西武百貨店個展作 酒器
  • ★★金重陶弘作 備前南蛮写耳付水指 共箱 茶道具★★
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 登場人物 童子、順礼等        舞妓白萩 千代            伊留満喜三郎 常丸            学頭 菊枝            所化(しよけ)長順 老いたる男及び行人二三   所化乗円、其他学僧 うかれ男          老いたる侍 永禄末年のこと。但風俗は必しも史実に拠(よ)らず、却つて今人の眼に親うするものとす。秋の日、暮がた。後景は京都四条坊なる南蛮寺(なんばんじ)の高き石垣。そが中ほどよりやや上手寄りて門。その扉開かれてあり。門内の広場に木立、そを透きて仄(ほの)かに堂見ゆ門前街道童子等集る。

童子等。(唄。)

夕やけ小やけ。
摩訶陀(まかだ)の池の
さんしよの魚は
きらきら光る。
玻璃(びいどろ)のふらすこ
ちんたの酒は
きらきら光る。
鐘が鳴る。鐘がなる。
寺の御堂(みだう)の
十字の金(かね)は
きらきら光る。
年|少(わか)き姉妹の順礼|御詠歌(ごえいか)うたひながら下手より登場。姉なるは盲目(めしひ)なり。


姉の順礼 (程よき所に立留り、もの怪しむ気はひ。)何やら怪(あや)しい音がするがのう。この近くに海でもあるかいのう。
妹の順礼 何の、姉(んね)や。京の都には海があるもんかの。
姉の順礼 そんなら河の音か。そや無けりや風かいのう。わしや滅相(めつさう)草臥(くたぶ)れた。今日の宿はまだかいなあ。
妹の順礼 そやつて姉(んね)や。嚮(さき)からまだ一里とも来やせぬわ。
姉の順礼 何処ぞで歌うたふ声が聞えるやうやのう。
妹の順礼 姉や。此処(ここ)は立派な寺やんどの。何様ぢや知らぬけれども拝んで行かうよ。
姉の順礼 さうかいな。お寺ならば善う拝んで行かうのう。

姉妹門内を覗ひつつ、


妹の順礼 何ていふお寺やろ。遠くに、遠くに立派本堂さまが見えるわかいよ。
姉の順礼 ああ、わしも一目見たいのう。
妹の順礼 や。姉や。烏が。烏が。姉や。はれ烏があんなに来たよ。――お日様がもうお隠れやるかいな。――西の天が赤なつた。はれ、血のやうに赤なつたわ。姉や。烏が仰山(ぎやうさん)来た。寺の屋根へ留(とま)つたは。


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