問答二三 関連リンク

内村 鑑三 のオススメ作品

作家別索引

作品別索引

問答二三 - 内村 鑑三 ( うちむら かんぞう )

  • 家庭の教育相談 問答式
  • 平林たい子 にくまれ問答 昭和34初版 光文社
  • s和本読本 信長安土城 安土問答諺注5冊揃日蓮仏教古書古文書
  • 問答式 減価償却質疑応答集 50音別耐用数年表別表1、2収録 会計
  • ☆問答無用!のパジェロ・エクシード☆
  • 【書籍】森田正馬/水谷啓二『神経質問答』
  • 【即決】筒井康隆「文学部唯野教授の女性問答」中公文庫
  • 31四次元問答 都筑卓司 1992.4.1
  • ●絶版【文学部唯野教授の女性問答】筒井康隆(プチソフト2)
  • ●絶版【文学部唯野教授の女性問答】筒井康隆(プチソフト3)
 客(かく)あり余(よ)に問(と)ふに左(さ)の二三の事項(じこう)を以てせり、而(しか)して余(よ)は爾(し)か答(こた)へぬ。  問、足下は日本基督教は今より何年を期(き)して復興すると考(かんが)へらるゝや。
 答、教会(けうくわい)は草木(さうもく)又(また)は動物(どうぶつ)の如き自然物(しぜんぶつ)にあらず、草木は時期(じき)を定(さだ)めて花(はな)を有(も)ち菓(み)を結(むす)び、小児(せうに)は或(あ)る時期(じき)を経過(けいくわ)すれば成人(せいじん)して智力(ちりよく)の啓発(けいはつ)に至るべし、然(しか)れども教会(けうくわい)は人為的(じんゐてき)なり、復興(ふくこう)せんと欲(ほつ)せば明日(めうにち)、今日(こんにち)、之(これ)を復興(ふくこう)するを得(う)べし、而して其(その)復興(ふくこう)の方(はう)たるや、安楽椅子(あんらくいす)に倚(よ)り罹(かゝ)り、或は柔軟(じうなん)なる膝褥(しつぢよく)の上(うへ)に跪(ひざまづ)き如何程(いかほど)祈祷(きたう)叫号(きうごう)するも無益(むえき)なり、暑(しよ)を山上に避(さ)けながら眼下(がんか)に群住(ぐんぢう)する憐(あは)れなる数万の異教徒(ゐけうと)の為(た)めに祈願(きぐわん)を込(こ)めるも無益(むえき)なり、教会(けうくわい)復興(ふくこう)の方策(はうさく)とは教導師(けうだうし)先(ま)づ躬(みづ)から身(み)を捐(す)つるにあり、彼(か)の家族(かぞく)の安楽(あんらく)を犠牲(ぎせい)に供(きやう)するにあり、若(も)しミツシヨンより金を貰(もら)ふ事(こと)が精神上(せいしんじやう)彼(かれ)と彼(かれ)の教会(けうくわい)の上に害(がい)ありと信(しん)ずれば直(たゞち)に之を絶(た)つにあり、我れ饑(う)ゆるとも可なり、我の妻子(さいし)にして路頭(ろとう)に迷(まよ)ふに至るも我は忍(しの)ばん、真理(しんり)は我と我の家族(かぞく)より大なり、此(この)決心(けつしん)を実行(じつこう)あらん乎(か)、教会(けうくわい)は直(たゞち)に復興(ふくこう)し始(はじ)むべし、是(こ)れなからん乎、復興は世(よ)の終(おはり)まで待(ま)つも来(きた)らざるべし。
 問、足下(そくか)は尚ほ何時迄(いつまで)も著述(ちよじゆつ)に従事(じうじ)せれんとする乎(基督(きりすと)信徒(しんと)に他人の仕事(しごと)を気(き)にする者|多(おほ)し)。
 答、余(よ)は基督(きりすと)の兵卒(へいそつ)なり、兵卒は其時(そのとき)の来(きた)る迄(まで)は何(なに)をなすべきかを知らず、主(しゆ)の命(めい)ならん乎、余(よ)は高壇(かうだん)に立(た)つ事もあるべし、官海(くわんかい)に身(み)を投(たう)ずるやも計(はか)られず、基督信者目的(もくてき)なき者なり、自(みづ)から一の目的(もくてき)を定(さだ)め、万障(ばんしやう)を排(はい)し、終生(しうせい)一|徹(てつ)其(その)目的点(もくてきてん)に達(たつ)せんと勉(つと)むるが如きは余(よ)の不信仰(ふしんこう)時代(じだい)の行為(こうゐ)なりき、主(しゆ)の命(めい)維(こ)れ徇(したが)ひ、今日(こんにち)は今日(こんにち)の業(げふ)を成(な)す、是(こ)れ余(よ)の今日(こんにち)の生涯(しやうがい)なり、余に計画(けいくわく)なる者あることなし、何と愍(あはれ)むべき(羨むべき)生涯(しやうがい)ならずや。
 問、他人(たにん)に道(みち)を説くに如何(いか)なる方法(はうはふ)を採(と)るべきや。
 答、余(よ)は曾(かつ)て如此(かくのごと)き事を試(こゝろ)みし事なし、否(い)な試(こゝろ)みて其(その)甚(はなは)だ馬鹿気(ばかげ)切(きつ)たる事を認(みと)めたれば全然(ぜん/\)之を放棄(はうき)せり、道(みち)を行(おこな)ふ事(こと)是(こ)れ道(みち)を説(と)く事なり、殊更(ことさら)に勉(つと)めて他人(たにん)を教化(けうくわ)せんとするが如きは是(これ)を為す者の僣越(せんえつ)を示(しめ)し、無智無謀(むちむぼう)を証(しよう)す、余(よ)は知(し)る大陽は勉(つと)めて輝(かゞや)かざるを、星(ほし)は吾人の教化(けうくわ)を計(はかつ)て光(ひかり)を放(はな)たず、光(ひ)からざるを得(え)ざれば光(ひか)るなり、我(わ)れ主(しゆ)に倚(よ)り、主(しゆ)我(わ)れに宿(やど)る時(とき)は我は勉(つと)めずして光を放(はな)つなり、而して世(よ)は我(われ)より出る主(しゆ)の光(ひかり)を見(み)て我(われ)を信(しん)ぜずして主(しゆ)を信(しん)ずるに至(いた)る、是(こ)れ余(よ)の信(しん)ずる基督教的(きりすとけうてき)伝道(でんだう)なる者なり。
 客(かく)又(また)問(と)はず、余(よ)を辞(じ)して去(さ)る。



底本:「内村鑑三全集3 1894-1896」岩波書店
   1982(昭和57)年12月20日発
底本の親本:「福音新報 59号」署名内村鑑三
   1896(明治29)年8月14日発
入力:ゆうき
校正:ちはる
2000年11月2日公開
2005年9月27日修正
青空文庫作成ファイル
このファイルは、インターネット図書館青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力校正制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。


内村 鑑三 (うちむら かんぞう) 以外のオススメ作品

問答二三 (もんどうにさん) のリンク元

「問答二三-内村 鑑三」の関連ページ


関連ページ
Web Services by Yahoo! JAPAN