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土俗玩具の話 - 淡島 寒月 ( あわしま かんげつ )

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  • 鉄人28号◎ボート◎浅草玩具◎光プロ◎ブリキ玩具◎乗物◎絶版品
  • スーパージェッター◎オートバイ◎浅草玩具◎ブリキ玩具◎絶版品
  • グッドタイムチャーリー◎丸吉玩具製作所◎1950年代◎ブリキ玩具
  • *新品*Fisher-Price*ベビー用おもちゃ*玩具*歯固め*知育玩具
  • 《郷土玩具参考図書》《日本人形玩具辞典》
  • 宇宙玩具プラトイ①◆駄玩具
  • 《郷土玩具参考図書》《佐渡の郷土玩具》
  • タカラ「魔神英雄伝ワタル」玩具販売開始宣材商品カタログ
  • ぬいぐるみウマ*飾りうまおもちゃ玩具サラブレッド競馬ダービー
       一  玩具と言えば単に好奇心を満足せしむる底(てい)のものに過ぎぬと思うは非常な誤りである。玩具には深き寓意伝統の伴うものが多い。換言すれば人間生活と不離の関係を有するものである。例えば奥州三春駒(みはるごま)は田村麻呂将軍奥州征伐(おうしゅうせいばつ)の時、清水寺の僧|円珍(えんちん)が小さい駒を刻(きざ)みて与えたるに、多数の騎馬武者に化現(かげん)して味方の軍勢を援(たす)けたという伝説に依(よ)って作られたもので、これが今日|子育馬(こそだてうま)として同地方に伝わったものである。日向(ひゅうが)の鶉車(うずらぐるま)というのは朝鮮の一帰化人一百歳の高齢に達した喜びを現わすために作ったのが、多少変形して今日に伝ったのである。米沢の笹野観音で毎年十二月十七、八日の両日に売出す玩具であって、土地で御鷹というのは素朴な木彫で鶯(うぐいす)に似た形の鳥であるが、これも九州太宰府(だざいふ)の鷽鳥(うそどり)や前記の鶉車の系統に属するものである。
 鷹山(ようざん)上杉治憲(うえすぎはるのり)公が日向高鍋(たかなべ)城主秋月家より宝暦十年の頃十歳にして、米沢上杉家養子となって封を襲うた関係上、九州特色ある玩具奥州に移ったものと見られる。仙台地方流行するポンポコ槍(やり)の尖端(せんたん)に附いている瓢(ひさご)には、元来穀物種子が貯えられたのである。これが一転して玩具化したのである。

       二

 かく稽(かんが)えて見ると、後世全く無意味|荒唐(こうとう)と思われる玩具にも、深き歴史背景人間生活の真味が宿っている事を知るべきである。アイヌの作った一刀彫(いっとうぼり)の細工ものにも、極めて簡素ではあるが、その形態の内に捨て難き美を含んでいるのである。
 地方|僻遠(へきえん)の田舎に、都会風塵から汚されずに存在する郷土玩具人形には、一種言うべからざる簡素なる美を備え、またこれを人文研究史上から観て、頗(すこぶ)る有意義なるものが多いのであるが、近来交通機関が益々発達したると、都会風が全く地方征服したるとに依り、地方特有の玩具が益々影が薄れて来て、多くは都会化した玩具や、人形作るようになって来たのは如何にも遺憾(いかん)である。
 郷土的な趣味や雅致(がち)あるものも、購買者が少なければ、製作者もこれに依って生活出来ぬという経済的原因支配されて、保存さるべきものが、保存されずに亡び行くことは惜みても余りあることである。

       三

 都会趣味は、一面地方を侵害しては行くが、物価の高い都会生活では、到底製作出来ぬようなものを、比較的生活費が低いのと、生活環境(かんきょう)が安定しているのとで、非常に面白味のある玩具が、或る地方には今なお製作されている処もある。
 かくの如きものは是非とも保存して、その地方の一特産としたいものである。その他趣味保存すべき郷土人形や、玩具に対しても保護を加えて存続させたいものである。近来|市井(しせい)に見かける俗悪な色彩のペンキ塗のブリキ製玩具の如きは、幼年教育の上からいうも害あって益なかるべしと思うのである。
 玩具及び人形は単に一時の娯楽品や、好奇心を満足せしむるを以(も)ってやむものでない事は、人類最古の文明国たりし埃及(エジプト)時代に已(すで)に見事なものが存在したのでも知られる。英国博物館には、四、五千年前のミイラの中から発見された玩具が陳列されてあるのである。これに依って見ても玩具人類生活と共に存在したことが想われる。
 玩具人類思想感情表現されたものである事は、南洋の蛮人玩具怪奇にして、文明国民想像すべからざる形態を有するに見ても知るべきである。概(がい)して野蛮人は人を恐怖せしむるが如きものを表現して喜ぶ傾向を有するのである。されば玩具人形は、単に無智なる幼少年娯楽物に非(あら)ずして、考古学人類学研究資料とも見るべきものである。茲(ここ)において我が地方玩具保護製作を奨励(しょうれい)する意味が一層|深刻(しんこく)になるのである。(大正十四年九月副業』第二巻第九号)



底本:「梵雲庵雑話」岩波文庫岩波書店
   1999(平成11)年8月18日第1刷発行
入力小林繁
校正:門田裕志
2003年2月9日作成
青空文庫作成ファイル
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