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- 森 鴎外 ( もり おうがい )

  • 古書≪森鴎外集≫7 青年、舞姫他 【 森鴎外】河出書房 貴重 初版
  • 「森鴎外私論」吉野俊彦 森鴎外評論-批評-書籍・10冊 N21681
  • 岩波文庫1675昭和41年/阿部一族他二編森鴎外 岩波書店
  • 600円~ 岩波文庫【青年】森鴎外 (プチソフト1)
  • ◆◇森鴎外著「舞姫・山椒大夫  他四篇」(旺文社文庫)◇◆
  • ◆◇ 森鴎外著「青年」(新潮文庫) ◇◆  名著! 
  • ◆◇森鴎外著「舞姫・うたかたの記  他三篇」(岩波文庫)◇◆
  • ◆新品DVD★『NHK 名作の風景 8』森鴎外 正岡子規 夏目漱石1円
  • 森鴎外 高瀬舟・高瀬舟縁起・寒山捨得・寒山捨得縁起 CD 未開封
  • 森鴎外 舞姫 雁 井上靖 訳編 明治の古典8 初版
 カントが発狂の階梯だと恐れたを自身に検究する事に再び着目したるは、新約克のジユリウスネルソン Julius Nelson です、既に記録したの数は四千あつて、短いのは一語で写され、長いのには百語を費す、ネルソンはを区別して晩、夜、朝の三としたり、晩は疲労の日に継ぐもので、大抵日業の継続から悲壮的(トラーギシユ)の結末を示し――昼間氷※の戯をなし夕にもこれをみ遂に僵る―― 醒める時には筋肉の劇動をし又は叫喚す、夜は日間神経の刺衝興奮に継ぐ――火災の後に烟火の昇るを、点竄をなす後に難符号の出るを、聴楽の後に音響をみる――飲酒はこれを促す、朝は安眠の間に貧血になつて居たのが充血するの結果、その充血の少ない時には後で僅にを見たと思ふのみ、充血が多ければこれを記憶す、凡その中で面白いのは朝で平生忘れて仕舞た瑣末な事が思ひも掛けず浮き出し様々変化せられ、敷衍せられ、走馬燈の如く、劇部の場面の如く、時間空間も放縦自在となり、頃刻の間に数十年の事を瞥見するは独り邯鄲の枕に依る計りではなし、  次にネルソンは記の単複での劇易を測り、これを弧に作つて見たに二十八日毎に弧線が跳上する、二十八日は即ち太陰暦の月に当る、然し真の月輪満虧には関係せずネルソンは是れを以てハムモンド Hammond の曾て信じた「男子月経」 Katamenia masculina の明証と云へり。  この消長はまた一年の中にも見えて三四月の弧線は尤も低く十一十二月は尤も高し(Americ. Journal of Psychol., I, 3.)  これと趣を異にしたるものはニツツアーの人マカリオ Macario が病人のの検究なり未だ閾を越えて識界に入らざる痛楚、不仁等も眠つて居る間休む調停作用のお蔭でに顕はれる即ち所謂病兆 〔Pra:monitorische Tra:ume〕 なり、 ――両足が石に成つたを見た跡から脊髄的の両下麻痺が起り、に犬に噬まれたと思つた所に跡で癰が呈はれ、右の腹に刀を刺されたを度々見た跡で肝膿瘍が知れ、腹の上へ鷲鳥が下りたの跡で腸窒扶斯が発し、沈溺縊首のは屡々真の呼吸困難に先つ、また発狂前にも種々のを見る――其外既に発した病は症に随てを殊にす、鬱憂家のは悲むべく、躁狂家のは誇張し、痴狂家のは稀疎にして飄忽たり、依卜昆垤児(ひぽこんでる)のと喜斯的里(ひすてりー)のは多く自分の身を困め、心臓病者のは短くして醒(さめ)る時には瀕死の苦あり、小児の腹中に虫湧く時は睡眠中驚き醒むること多し、陰部の刺衝と老人の僂麻質斯(れうまちす)性睾丸炎のは猥褻にして洩精す、又萎黄病の処女は何時も心臓の噪響を聴く為め歟その見るは海の波の音、風の戦ぐ声、鶯のしばなく声などなり(Gaz. 〔me'd〕. de Paris 1888 & 1889.) 底本:「日本の名随筆14 」作品社    1984(昭和59)年1月25日第1刷発行    1985(昭和60)年3月30日第2刷発行 底本の親本:「鴎外選集 第一一巻」岩波書店    1979(昭和54)年9月 初出:「衛生新誌」    1889(明治22)年9月 入力:土屋隆 校正:門田裕志 2008年1月15日作成 青空文庫作成ファイル: このファイルは、インターネット図書館青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力校正制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。


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