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- ウィード グスターフ ( ウィード グスターフ )

  • 雁 森林太郎 名著復刻全集 近代文学館 昭和43年9月
  • amy☆昭和17年☆森鴎外集☆三代名作全集☆森林太郎☆汚れ有☆
  • 名著複刻全集『雁』森林太郎
  • ●絶版【鴎外選集16】森林太郎(森鴎外)(プチソフト1)
  • 鴎外選集 第15巻 諸国物語 下 森林太郎 岩波書店
  • ◆蛙 森林太郎◆森鴎外/大正8年/初版/玄文社出版/三田文選別冊
  • ◆著書:森林太郎(森鴎外) かげ草◆明治44年/訂正再版/春陽堂
  • 蛙 森林太郎 大正9年 5版
  • 即決★雁 森林太郎著 森鴎外 新選名著復刻全集近代文学館
  • 蛙 森林太郎 大正9年 5版
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DAT FLEESCH グスタアフ・ヰイド Gustav Wied 森林太郎訳  ブレドガアデで午食(ごしょく)をして来た帰道である。牧師をしてゐる兄と己(おれ)とである。兄はユウトランドで富饒(ふぜう)なヱイレあたりに就職したいので、其運動に市中へ出て来た。ところが大臣が機嫌好く話を聞いてくれたので、兄はひどく喜んでゐる。牧師でなくては喜ばれぬ程喜んでゐる。兄は絶えず手をこすつて、同じ事を繰り返して言ふ。牧師でなくては繰り返されぬ程繰り返して言ふ。「ねえ、ヨハンネス。これからあの竪町(たてまち)の内へ往つて、ラゴプス鳥(てう)を食べよう。ラゴプス鳥を。ワクチニウムの実を添へてラゴプス鳥を食べよう。」
 こんな事を言つて歩いてゐると、尼が二人向うから来た。一人の年上の方は、外国輸出するために肥えさせたやうに肉が附いて、太くなつてゐる。今一人は年が若くて、色が白くて、背(せい)がすらりと高くて、天国から来た天使のやうな顔をしてゐる。
 我々と摩れ違ふ時、二人の尼は目を隠さうとした。すらりとしてゐる方にはそれが出来た。太つた方は下を視るには視たが、垂れた上瞼(うはまぶた)の下から、半分おこつたやうな、半分気味を悪く思ふやうな目をして、横ざまに己の顔を見た。
「あ。いつかの二人だつた。」己はかう云つて兄の臂を掴んだ。
「誰だつたと云ふのかい。」
「まあ、聞いて下さい。あなたの、その尊い口にも唾(つ)の涌くやうな話なのです。あの鍛冶屋町を知つてゐるでせう。」
「うん。まだお上のお役をしてゐた時、あそこで日の入を見てゐたことが度々あるよ。ひどく寂しい所だ。」
「それに乳母が大勢集まる所です。」
「己の往く頃はさうでもなかつたよ。己の往く頃は。」
「まあ、聞いて下さい。わたしが鍛冶屋町発見したのは、去年の春でした。実際あなたの云ふ通、寂しい所で、鳥の声が聞える。鵠(くゞひ)がゐる。尼さん達が通るのです。長い黒い列を作つて通るのです。石炭の丸(たま)を緒に貫(ぬ)いたやうな工合ですね。年上のと若いのと並んで行くのもある。年上のが二人で、若いのを一人連れて行くのもある。若いの二人を、年上のが一人で連れて行くのもある。兎に角若いの二人切で行くと云ふことはありません。若いうちはいろ/\な誘惑がありますからね。」
「さうだとも。肉は弱いもので。」
「肉がですか。何も肉が、外のあらゆる物に比べて、特別に悪いと云ふ訳でもありますまい。」
「己はそんな問題に就いてお前と議論したくはないよ。」
「さうでせうとも。御尤(ごもつとも)です。そこで兎に角鍛冶屋町を尼さん達が大勢通るのです。


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