庚娘 関連リンク

蒲 松齢 のオススメ作品

作家別索引

作品別索引

庚娘 - 蒲 松齢 ( ほ しょうれい )

  • 昭和9年 日本怪談全集 第4巻 田中貢太郎 改造社
  • #日本怪談全集 Ⅱ 田中貢太郎 桃源社
  • $日本怪談全集Ⅰ 田中貢太郎著 桃源社
  • $日本逸話全集 田中貢太郎著 桃源社
  • # 日本怪談実話 全 田中貢太郎著 桃源社 初版
  • 田中貢太郎 日本怪談全集 全2巻 桃源社 昭和45年発行
  • $情鬼・朱唇 田中貢太郎著 桃源社
次のページ
田中貢太郎訳  金大用(きんたいよう)は中州(ちゅうしゅう)の旧家の子であった。尤(ゆう)太守の女(むすめ)で幼な名を(こうじょう)というのを夫人に迎えたが、綺麗(きれい)なうえに賢明であったから、夫婦の間もいたってむつましかった。ところで、流賊の乱が起って金の一家も離散した。金は戦乱の中を両親と庚娘を伴(つ)れて南の方へ逃げた。
 その途中で金は少年に遇った。それも細君(さいくん)と一緒に逃げていく者であったが、自分から、
「私は広陵(こうりょう)の王(おう)十八という者です。どうか路案内をさしてください。」
 といった。金は喜んで一緒にいった。河の傍(そば)へいった時、庚娘はそっと金に囁(ささや)いた。
「あの男と一緒に舟に乗ってはいけませんよ。あれは時どき私を見るのです。それにあの目は、動いて色が変りますから、心がゆるされませんよ。」
 金はそれを承知したが、王が心切に大きな舟をやとって来て、代って荷物を運んでくれたり、苦しいこともかまわずに世話をしてくれるので、同船をこばむこともできなかった。そのうえ若い細君を伴れているので、たいしたこともないだろうという思いもあった。そして一緒に舟に乗って、細君と庚娘とを一緒においていると、細君もひどくやさしいたちであった。
 王は船の舳(へさき)に坐って櫓(ろ)を漕(こ)いでいる船頭と囁(ささや)いていた。それは親しくしている人のようであった。
 間もなく陽が入った。水路遥かに遠く、四方は漫漫たる水で南北の方角も解(わか)らなかった。金はあたりを見まわしたが、物凄いのでひどく疑い怪しんだ。暫(しばら)くして明るい月がやっとのぼった。見るとそのあたりは一めんの蘆(あし)であった。
 舟はもう舟がかりした。王は金と金父親とを上へ呼んだ。二人は室の戸を開けて外へ出た。外は月の光で明るかった。王は隙(すき)を見て金を水の中へつきおとした。金の父親はそれを見て大声をあげようとすると、船頭が※(さお)でついた。金の父親もそのまま水の中へ落ちてしまった。金の母親がその声を聞いて出て窺(のぞ)いた。船頭がまた※でつきおとした。王はその時始めて、
大変だ、大変だ、皆来てくれ。」
 といった。金の母親の出ていく時、庚娘は後にいて、そっとそれを窺(のぞ)いていたが、一家の者が尽く溺れてしまったことを知ると、もう驚かなかった。ただ泣いて、
お父さんお母さんも没くなって、私はどうしたらいいだろう。」
 といった。そこへ王が入って来て、
奥さん、何も御心配なされることはありませんよ。私と一緒に金陵(きんりょう)にお出でなさい。金陵には田地も家もあって、りっぱにくらしておりますから。」
 といった。庚娘は泣くことをやめていった。
「そうしていただくなら、私は他に心配することはありません。」
 王はひどく悦んで庚娘を大事にした。夜になってしまってから王は女を曳(ひ)いて懽(かん)を求めた。女は体※(たいはん)に託してはぐらかした。王はそこで細君の所へいって寝た。
 初更がすぎたところで、王夫婦がやかましくいい争いをはじめたが、その由(わけ)は解らなかった。それをじっと聞いていると、細君の声がいった。
「あなたのしたことは、雷に頭をくだかれることですよ。


次のページ

蒲 松齢 (ほ しょうれい) 以外のオススメ作品

庚娘 (こうじょう) のリンク元

「庚娘-蒲 松齢」の関連ページ


関連ページ
Web Services by Yahoo! JAPAN