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心の飛沫 - 宮本 百合子 ( みやもと ゆりこ )

  • 宮本百合子選集第一巻・小説集 ☆宮本百合子
  • 【本】 宮本百合子研究・宮本百合子批評 関係書 6冊 N21078
  • 宮本百合子全集 補巻一 習作一 函・月報付 新日本出版社
  • 現代日本文学全集35 宮本百合子集 筑摩書房
  • (新日本出版社) 宮本百合子選集 全12冊 送料無料!!
  • 【切手OK】宮本百合子『伸子 上巻』岩波版ほるぷ図書館文庫
  • 日本文学全集22 宮本百合子 伸子/二つの庭 河出書房新社
  • ●「新版 宮本百合子全集」第10巻 定価6000円
  • 宮本百合子全集5冊セット全初版 別巻1、2 補巻1、2 別冊 
  • 宮本百合子全集 28巻セット■新日本出版社■1980/82年
  胡坐  ああ 草原に出で  ゆっくりと楡の木蔭  我が初夏胡坐を組もう。  空は水色の襦子(サティン)を張ったよう  白雲が 湧いては消え 湧いては消え  飽きない自然模様を描く。
 遠くに泉でもあるか
 清らかな風のふくこと!
 私は、蟻の這い廻る老いた幹に頭を靠(よ)せ
 牧人のように
 外気に眼を瞑って 光を吸う。

 耀(ひかり)や熱に 魂がとけ
 軽々と情景に翔ぶ この思い。

  カーテン

 若き夫と妻。
 明るい六月電燈の下で
 チラチラと鋏を輝かせ
 針を運び
 繊細なレースをいじる。――

 「どう?……これでよろしいの?
 長くはなくって?」
 妻は薄紫のきものの膝から
 雪のようなきれをつまみあげた。
 「いいだろう。寸法を計ったのだもの」
 夫は 二足で 傍らの小窓に近づいた

 六月 窓外の樹々は繁り
 かすかな虫の声もする 夜。

 朝 彼等の小窓に
 泡立つレースのカーテン
 御殿のように風に戦いで 膨らんだ。
〔一九二四年六月



底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
   1981(昭和56)年3月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「婦人世界
   1924(大正13)年6月号
入力柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
青空文庫作成ファイル
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