怪星ガン 関連リンク

海野 十三 のオススメ作品

作家別索引

作品別索引

怪星ガン - 海野 十三 ( うんの じゅうざ )

  • ●海野十三【海野十三傑作選 全3巻】深夜の市長 地球要塞
  • 18時の音楽浴/海野十三/HPB3096
  • ジャンク 深夜の市長 海野十三
  • 送料無料「海野十三全集」全15巻月報揃
  • 海野十三全集 第8巻 火星星団 定価2060円☆初版
  • 送80海野十三 地球盗難 初版 ソノラマ文庫
  • 海野十三『俘囚 其の他』雄鶏社 昭和22年 探偵小説
  • 海野十三傑作集①「深夜の市長他」
  • 海野十三「透明人間」タイムマシン宇宙戦争H.G.ウエルズ★海外OK
  • 【海底大陸/海野十三 他】小学館 少年少女世界の名作
次のページ
   臨時放送だ! 「テレ・ラジオの臨時ニュース放送ですよ、おじさん」  矢木三根夫(やぎみねお)は、伯父(おじ)の書斎の扉をたたいて、伯父注意をうながした。  いましがた三根夫少年は、ひとりで事務室にいた。そしてニュースの切りぬきを整理していたのだ。すると、とつぜんあの急調子の予告音楽を耳にしたのだ。
(あッ、臨時放送がはじまる。何ごとだろうか)と、三根夫は椅子からとびあがって、テレ・ラジオのほうを見た。その予告音楽は、そこから流れでていたし、またその上の映写幕には目にうったえて臨時放送のやがてはじまるのを、赤と藍(あい)とのだんだら渦巻でもって知らせていた。
 テレ・ラジオというのは、ラジオ受信機テレビジョン受影機(じゅえいき)がいっしょになっている器械のことだ。みなさんはすでに知っておられることと思うが。……
(臨時放送は、まもなくはじまる。そうだ、すぐおじさんに知らせておかなくては。……あとで「なぜそんな重大なことをおしえなかったのか」などといって目をむくおじさんだから、知らせておいたほうがいい)
 三根夫は、事務室をとびだすと、廊下を全速力で走って、いまものべたように、伯父書斎までかけつけると、扉をどんどんたたいたのである。
 なかから、大人の声が聞こえた。
臨時ニュース放送か。よしわかった。……鍵はかかっていないよ。こっちへはいってミネ君も聞くがいい」
 伯父は三根夫のことを、いつもミネ君と呼んでいる。探偵仕事としている伯父のことだから、なかなか気むずかしいこともあるが、ほんとはやさしい伯父なのである。
 三根夫は扉をあけて、書斎にはいった。
 伯父帆村荘六(ほむらそうろく)は、寝衣(ねまき)のうえにガウンをひっかけたままで、暗号解読器をしきりにまわして目を光らせていた。このようすから察すると、伯父は夜中にとび起きて、なにかの暗号をときにかかったまま、朝をむかえたものらしい。
 伯父頭髪はくしゃくしゃで、長い毛がひたいにぶらさがって目をふさぎそうだ。卵形をしたりっぱな伯父の顔は、たいへん色が悪く目ははれぼったい。三根夫は伯父同情し、そしてまた仕事に熱心すぎる伯父健康についてしんぱいになった。三根夫がはいっていっても、伯父はちらりと、ひと目だけ甥(おい)を見ただけで、あとはふりむいても見ず、声をかけようともせず、ますますいそがしそうに暗号解読器をまわしつづけているのだった。
 そのとき、臨時放送がはじまった。
 アナウンサー田村君の声が、いつになくきんきんとするどく響く。――
「お待たせしました。臨時ニュースを申しあげます――」
 すみの三角|棚(だな)のうえにおいてあるテレ・ラジオがしゃべりだす。その器械のまん中にはまっている映写幕には、アナウンサー田村君のきんちょうした顔がうつっている。
「――地球連合通信。九時五分発表
 サミユル博士以下六十名の搭乗しております宇宙艇『宇宙女王(クィーン)』号が遭難したもようであります。
 その遭難地点は、地球より約四千万キロメートルのところと思われます。
宇宙女王』号が金星探検のために宇宙旅行をつづけていたことは、みなさんよくごぞんじの通りであります。
 地球時間本日七時五十五分に『宇宙女王』号は謎の文句をのせた無電を放送いたしました。その文句は、
『……航行不能におちいった、どこの故障なるや解くことをえず。艇および艇内気温異様に急上昇す、室温摂氏三十五度なり。乗員裸となる。二等運転士佐伯(さえき)、怪星を前方に発見す、太陽系遊星にあらず、彗星にあらず、軌道法則にしたがわずふしんなり。ただいま突然、怪星怪光をあげて輝き、にわかにわれに接近す。われいまや怪星(かいせい)ガン』
 電文はここで切れております。
 それいらい『宇宙女王』号よりの無電連絡はとだえておりまして、すでに一時間余を経過しており、同号の安否はすこぶる憂慮(ゆうりょ)されております。
 同号は、非常のときに五種の救難信号を発するように設備せられていますが、いままでにその一つもつかまらないのであります。それから推察して、『宇宙女王』号は、まえに読みました謎の無電の停止した直後に、おそるべき破壊または爆発をとげたものではないかと思われます。
 なお、遭難地点にちかき空間を航行ちゅうの宇宙艇にたいし、救難のためその地点急行するよういらいをしましたが、調査によれば約三隻あり、そのもっとも近きものは、現場より千三百キロメートルをへだてた空間にある宇宙|採取艇(さいしゅてい)ギンネコ号であります。
 以上がただいまお知らせすることの全部でありますが、十時の定時ニュースのときに、ついか放送することがあるはずでございます。
 サミユル博士の『宇宙女王』号遭難説に関する臨時ニュース放送をおわります」


   国際電話


 臨時ニュースを聞きおわって、三根夫は、すがりつくように伯父のほうへ目を向けた。
 すると帆村は、いつのまに暗号器からはなれていて、小さな腰掛のうえに腰をおろして足を組み、膝のうえにメモをひらいて、鉛筆をにぎっていた。三根夫が見たとき、帆村はメモのうえに書きつけた速記文字を熱心に見入っていた。


次のページ

海野 十三 (うんの じゅうざ) 以外のオススメ作品

怪星ガン (かいせいガン) のリンク元

「怪星ガン-海野 十三」の関連ページ


関連ページ
Web Services by Yahoo! JAPAN