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懶惰の歌留多 - 太宰 治 ( だざい おさむ )

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  • 松屋特撰 歌留多会専用 取札
  • ■雛道具 百人一首 江戸時代 木版京都大和絵雛人形歌留多
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 私の数ある悪徳の中で、最も顕著の悪徳は、怠惰(たいだ)である。これは、もう、疑いをいれない。よほどのものである。こと、怠惰に関してだけは、私は、ほんものである。まさか、それを自慢しているわけではない。ほとほと、自分でも呆(あき)れている。私の、これは、最大欠陥である。たしかに、恥ずべき、欠陥である。
 怠惰ほど、いろいろ言い抜けのできる悪徳も、少い。臥竜(がりょう)。おれは、考えることをしている。ひるあんどん。面壁九年。さらに想を練り、案を構え。雌伏(しふく)。賢者のまさに動かんとするや、必ず愚色あり。熟慮。潔癖。凝り性。おれの苦しさ、わからんかね。仙脱。無慾。世が世なら、なあ。沈黙は金。塵事(じんじ)うるさく。隅の親石(おやいし)。機未だ熟さず。出る杭(くい)うたれる。寝ていて転ぶうれいなし。無縫天衣。桃李(とうり)言わざれども。絶望。豚に真珠。一朝、事あらば。ことあげせぬ国。ばかばかしくって。大器晩成。自矜(じきょう)、自愛。のこりものには、福が来る。なんぞ彼等の思い無げなる。死後の名声。つまり、高級なんだね。千両役者だからね。晴耕雨読。三度固辞して動かず。鴎(かもめ)は、あれは唖(おし)の鳥です。天を相手にせよ。ジッドは、お金なんだろう
 すべて、のらくら者の言い抜けである。私は、実際、恥かしい。苦しさも、へったくれもない。


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