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手紙 - 知里 幸恵 ( ちり ゆきえ )

  • 【手紙文】◆◆若い人の手紙文◆◆淡路まもる◆◆文進堂◇◆◆
  • ◎R-23751 ふみの日切手帳 ぞうと手紙 花と手紙 ゆうペーン1点
  • ◎R-23750 ふみの日切手帳 ぞうと手紙 花と手紙 ゆうペーン1点
  • ◎R-23748 ふみの日切手帳 ぞうと手紙 花と手紙 ゆうペーン1点
  • ◎R-23749 ふみの日切手帳 ぞうと手紙 花と手紙 ゆうペーン1点
  • ふみの日シール式切手帳 (ネコと手紙・妖精と手紙) 未使用1
  • 絵手紙☆たのしい絵手紙・年賀状 谷口眞仙編☆
  • No.4211 十二人の手紙…手紙だけが物語る迫真の人間喜劇
  • 新潮文庫 若き詩人への手紙 若き女性への手紙 リルケ
  • ☆ふみの日/ゆうペーン/ぞうと手紙&花と手紙 シート☆
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知里高吉・浪子宛(幌別郡登別村) 大正五年十月頃(旭川五線二号発信) 拝啓 しばらく御無沙汰いたしました。お父上の御病気大分よくなったときいて私等ははじめて安心いたしました。秋も早やたけなはとなりまして四方の山は錦を着飾ってだん/″\涼しうなりましたから、きっと病気もよくなるでせうと私も昼夜祈って居ります。母上様も今年は御健康の由、いかもいゝあんばいに沢山とれておあしもたくさんとれゝばいゝと願って居ります。私も無事にて勉学をして居りますから御安心下さいませ。
新聞でも御存じの聯合共進会は八日から開かれました。教育展覧会も開かれました。区内各学校上川支庁管内の学芸品が並べてありますからまことにりっぱださうです。私も二三日のうちに行って見ます。私の綴方も出て居ます。
昨日は区内小学校聯合音楽会がひらかれました。私は第五アイヌ学校卒業生となってオルガン独奏をやりましたが意外 うまく出来ました。他の学校から出た生徒達は上手唱歌をうたひましたが私等のアイヌ生徒も余程上手でした。幾万の見物人の前でするのでずいぶんほねおれたでせう。私なんか間違はないで弾いてしまってみんなに手をはたいてほめられて、ほっとしましたわ。かういへば、いかにもうまさうにきこへませうが実はハボから見たらほんとに下手なんで御座いませう。いつかお話した東京立体音楽女学校卒業して旭川高等女校の唱歌教師をしている鈴木先生独唱もきゝました。旭川一人先生の声をきいたのですから余程光栄だといはなければならないのださうです。それで閉会でした。でも面白うございましたよ。
先生尺八だの聞いてゐたら、もうはらわたにしみこむやうな気がしますの。イスレキをぢさんのふゑより少しよかったやうでした。
これで音楽会のはなしはよしませう。
此の間から集めた砂糖一樽、お父上に差上やうと思ってゐましたところ父上様には悪いと聞いて仕方がありませんから、残念ながら高央と真志保におくりますから父様のかはりとなって食べて下さい。キリブもらったからハボにあげやうと思って砂糖と一しょにしまっておいたら、ふち知らずに戸棚をあけておいたので猫がたべかけました。それをまたふちが見つけてキリブをもって来てまた、アクの中へまちがって、おとしてしまったの。それでとう/\だめになってしまったのですもの。また見つけてあげませう。
さらばさらば。父上様お身をお大切に早くなほって下さい。ハボも大事にいかさきして下さい。
さよなら
暮れゆくまどにて
幸恵
  母上さま
  父

知里高吉宛
大正六年四月一日付(旭川発信)


拝啓
まへからしばらく御心配下さいました旭川区立職業学校受験結果は、幸に四等にて合格いたしましたから何卒御安心下さいませ。タイムスで御覧になることでせう。
さよなら

知里高吉・浪子宛
大正六年四月一日付(旭川発信)


拝啓 この度区立女職校に入学いたします。(タクサンオイワイシテチョウダイナ)戸籍抄本是非要るのですから、お手数ながら何卒四月九日までにお送り下さるやうに願上ます。もし抄本がなければ折角四等合格しても何にもなりません。入学も何も駄目になりますから何卒くれ/″\お願ひ申上げます。三日か四日か二日にはきっとタイムスにも出るでせうから大きい目をうんと開けて御覧下さい。先づ先に『此の中に第四位にて入学せる知里幸恵旧土人なり』って書てありますからハボなんか目ひっくりかへして腰ぬかすかもしれませんからお気をつけなすって。ふち早く来ればいいな……。
九日戸籍抄本をもって行くのですからそれにおくれゝば困りますから、どうかかはいさうに思って早く送って下さい。高央、真志保、御べんきょうなさい。お願い申しあげます。
(百十名の中で四番ですからえらいでせう)

知里高吉・浪子宛
大正七年五月頃(旭川発信)


ひさしぶりでまた長いながい手紙書きませう。明日は荷物を送るといふのでふちも母様もお土産たくさん出していそがしさうで御座いますけれども、私には何も土産がありませんので相変らず長い手紙贈り物にいたします。それは、父上様や母上様が何よりもおよろこびなさると私は信じますから。……
只今学校から帰りますとお端書を拝見いたしました。さうして涙の出るほど嬉しう存じました。何卒早く夏休みが来ますやうにひたすら祈ってゐます。
高央と真志保と一しょに行かれたら……私はこよなき幸福ですもの。


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