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佐左木 俊郎 のオススメ作品

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- 佐左木 俊郎 ( ささき としろう )

  • 唯川恵 「彼女の嫌いな彼女」 集英社文庫 ★即決★
  • 僕の彼女はサイボーグ のようで 綾瀬はるか のような 生彼女胸像
  • 「彼女の嫌いな彼女」     唯川恵
  • ●橋部敦子●ノベライズ●僕と彼女と彼女の生きる道●
  • 彼女の嫌いな彼女 O.S.T. BGCH-1002 ♪君がいない(TV version)
  • 白石かおる 僕と《彼女》の首なし死体 横溝ミステリ大賞 
  • @*僕の彼女はサイボーグメイキング写真集■綾瀬はるか小出恵介
  • 希少!川村亜紀写真集 my girl ぼくの彼女 初版 帯付 美品
  • 僕と彼女の××× 森永あい 抽プレテレカ 黄色
  • ★USJ非売品★ウッドペッカーの彼女?ピンバッチ
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     一  彼女銀座裏で一匹のすっぽんを買った。彼女のそれを大型の鰐(わに)皮製のオペラ・バッグに落とし込んで、銀座のペーヴメントに出た。
 宵の銀座は賑(にぎわ)っていた。彼女は人の肩を押し分けるようにしながら、尾張町停留所の方へ歩いた。店を開きかけた露店商人が客を集めようとあせっている。赤、青、薄紫の燈光が揺れる。足音乱れる
もしもし! 奥さん。」
 彼女は誰かに呼びかけられたような気がして立ち止まった。彼女の肩に、無数の肩が突き当たり、擦り合って行った。鼠色の夏外套、鮮緑の錦紗(きんしゃ)。薄茶スプリング・コオト。清新な麦藁帽子。ドルセイの濃厚な香気。そして爽かな夜気が冷え冷えと、濁って沈澱した昼の空気を澄まして行った。
 錯覚だったのだ。誰も呼んではいなかった。鼠色のハンチングを眼深(まぶか)に冠った蒼白く長い顔の男が、薄茶の夏外套に包んだ身体(からだ)を、彼女の右肩に擦り寄せるようにして立っているだけだった。
 彼女はその男から逃(のが)れるようにして、車道を越えて向こう側の舗石道(ペーヴメント)に渡ろうとした。電車ピストン・ロットのように、右から左へ、左から右へと、矢継ぎ早に掠(かす)めて行った。青バスが唸って行く。円タク行列だ。彼女は急に省線で帰ることにした。円タクをやめて。
 省線電車は割に混んでいた。併し彼女はどうにか腰をおろして、その左脇にオペラ・バッグを置くことが出来た。
 神田駅に近付いたとき、彼女は、自分の左脇に腰をおろしている男が、顔全体で痛さを堪えながら指先を握っているのに気がついた。その指の間からはだらだらと血が滴っていた。
「まあ! どうなさったんです?」
 彼女は、眉を寄せて、自分ハンカチを出してやった。
「あ、済みません。どうも、あの扉で……」
 彼は礼を言いながら血に染まった指先をハンカチで包んだ。食指の一節はぐしゃぐしゃに切れて無くなっていた。
「まあ、もげたんで御座いますか。」
「え。あの扉でもって…… 神田ですね。や、どうも……」
 男は戸口へ駈けて行った。鰐皮製のオペラ・バッグがその男の席に倒れた。彼女も、それを取って乗り換えのために戸口へ立って行った。エンジン装置の自働開閉扉が、するするっと開いた。

     二

 彼女は、すっぽん洗面器に入れて、自分の室に這入(はい)って行った。
 彼女洗面器の中の、すっぽんを視詰(みつ)めながら、首を出すのを待ったすっぽんの生血(なまち)を取るのには、その首を出すのを待っていて、鋭利刃物でそれを切るのだと教えられていたからであった。
 彼女電車の中での、自働扉に指を噛まれた男のことを思い出した。あの男の指のように、このすっぽんの首がぐしゃぐしゃに切断されるのだ。彼女はそれを考えると厭(いや)な気がした。
 併し彼女は、右手に、鋭利な大型の木鋏を握って、すっぽんが首を出すのを待たなければならなかった。これだけは他人に頼むわけにはいかないような気がしたし、女中達へ命ずるのにも彼女は気がさした。彼女秘密にこれを処理したかったのだ。
 彼女血液の衷(うち)の若さは、近頃ひどく涸(か)れて来ていた。この血液の衷から渇(かわ)いて行くものを補うために、彼女はいろいろなものを試みた。


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