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日本精神 - 坂口 安吾 ( さかぐち あんご )

  • ★日本の外交史 2冊★ 近代日本外交史・現代日本外交史
  • Ξ/日本製美術刀剣日本刀◇白石目 小刀 日本刀(模造刀)
  • 日本軍、日本海軍、日本陸軍、飛行眼鏡、ゴーグル
  • 日本軍、日本陸軍、日本海軍、恩賜の煙草入れ
  • 日本軍、日本陸軍、日本海軍、30年式銃剣、合法品
  • 格安!!日本語教師必見/日本語初歩/日本語国際センター
  • 佳景日本・秘境と仙境の旅(東日本編・西日本編)
  • ■蛇蔵&海野凪子 日本人の知らない日本語 笑える日本語バトル
  • P34#日本語2冊◆常識として知っておきたい日本語◆問題な日本語
  • 日本軍、日本陸軍、38式クリップ日本海軍、
 ヨーロッパ精神実在するか、また実在するとせば如何なるものがそれであるか、といふことが西洋思想界でもだいぶ問題になつてゐるといふことで、私もヌーヴェル・リテレールのアンケートで同じ質問の解答を読んだ記憶がある。ヴァレリイとかロマンローラン、クロオデル等といふフランス文壇大御所達が顔を並べて答へてゐたが、個々の意見記憶にない。概してヨーロッパ精神はすでに実在しない。実在するとせば世界精神としてゞあらうといふ意見が多いやうに思はれた。
 このことは我々にも常識的に考へられることであり、また常識的ならざる立場からでも一応は否定できないことであつて、今日ヨーロッパ精神を指摘することは難しい
 同様に我々の立場でも日本精神独立した形において指摘し把握することは、今日はなはだ難事である。日本精神今日では必然的に世界精神結びついてゐる。また結びつかざるを得ないのである。
 我々の生活にしても、日本的であるとゝもに甚世界的でもありさういふ自然流れから引離して特に日本的であらうとすれば、形のために却つて自然精神を失ひ概念的な日本人でしかありえなくなる。一日本精神問題ではなく一般に「祖国精神」といふものは今日世界精神の形の中で再生しなければならないのだ。
 文学にも日本精神にかへれといふ声があるが特に日本精神意識することは危険である。恰(あたか)も小説書くに当つて特に自己を意識することが甚だ危険であることゝ同然である。
 我々は小説書くに当つて自我意識する結果小説自我によつて限定され、自我領域と通路の中でしか物がいへない状態になる。もと/\我々は如何に自我無意識であらうとも、結局小説最後においては自我を語つてゐるのである。さうして、小説制作した後において小説結果として自我発見する方が、芸術本来の非限定性、発展性自由性に添ふことであり、かくあらねばならぬことなのだ。
 日本精神場合においても同断であつて、制作に先立つて日本精神意識することは徒らに限定を与へるにすぎない。我々は日本精神無意識であつても結局小説結果においては日本人であることを暴露せざるを得ないのである。
 伝統にも当然発展があるべきで発展なき伝統に限定しやうとすることほど文化の憎むべき敵はない。外形的に西洋かぶれをすることも自然流れであつてみればやがてそこにも日本精神必然的な自律性が加はるだらう。元来外国かぶれをすること自体が日本精神の一特質であるのかも知れないのである。これは冗談や自嘲ではない。



底本:「坂口安吾全集 02」筑摩書房
   1999(平成11)年4月20日初版第1刷発行
底本の親本:「新潟新聞 第一九九七五号〈夕刊〉」
   1936(昭和11)年12月4日付(3日発行)
初出:「新潟新聞 第一九九七五号〈夕刊〉」
   1936(昭和11)年12月4日付(3日発行)
入力:tatsuki
校正今井忠夫
2005年12月10日作成
青空文庫作成ファイル
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