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朝御飯 - 林 芙美子 ( はやし ふみこ )

  • ●同人誌 シャーマンキング、カレカノ、他/孫御飯:スマナイ。
  • 駅弁掛紙郡山駅御弁当福豆屋売価100円昭和30年代御飯掛紙セット
  • たち吉★唐草お好み碗★48個セット 御飯どんぶり ごはん茶碗
  • ★荒田西洋料理1仔牛・粉・御飯・料理編★フランス料理メニュー
  • シャーマンキング◆ ビューティフル… ◆葉アン スマナイ/孫御飯
  • 孫御飯「是麻倉葉的未婚妻。」シャーマンキング 即決
  • 未開封ドラゴンボール ビックサイズソフビフィギュア御飯
  • ◆即決◆[CDS]:(永井真理子) Fight! / 御飯食べてる? / 810A30
  • シャーマンキング◆ 是麻倉葉的…参 ◆葉アン スマナイ/孫御飯
  • ◆ 人気作家 松雁作品 萩焼御飯茶碗 ◆
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     1  倫敦(ロンドン)で二ヶ月ばかり下宿住いをしたことがあるけれど、二ヶ月のあいだじゅうが同じ献立だったのにはびっくりしてしまった。オートミールハムエッグス、ベーコン紅茶、さすがに閉口してしまって、いまだにハムエッグスとベーコンを見ると胸がつかえそうになる時がある。
 日本でも三百六十日朝味噌汁が絶えない風習だ。英国朝食と云うのは、日本味噌汁みたいに、三百六十日ハムエッグスがつきものなのだろうか。但(ただ)し倫敦オートミールはなかなかうまいと思った。熱いうちにバタを溶いて食塩で食べたり、マアマレイドで味つけしたり、砂糖とミルクを混ぜて食べたりしたものだった。
 巴里(パリ)では、朝々、近くのキャフェで三日月(クロバチン)パンの焼きたてに、香ばしいコオフィを私は愉(たの)しみにしていたものである。――朝御飯を食べすぎると、一日じゅう頭や胃が重苦しい感じなので、巴里的な朝飯は、一番私たちにはいいような気がする。
 淹(い)れたてのコオフィ一杯で時々朝飯ぬきにする時があるが、たいていは、紅茶にパンに野菜などの方が好き。このごろだったら、胡瓜(きゅうり)をふんだんに食べる胡瓜を薄く刻(き)ざんで、濃い塩水につけて洗っておく。それをバタを塗ったパンに挟んで紅茶を添える。紅茶にはミルクなど入れないで、ウイスキー葡萄酒を一、二滴まぜる。私にとってこれは無上のブレック・ファストです。
 徹夜をして頭がモウロウとしている時は、歯を磨いたあと、冷蔵庫から冷したウイスキーを出して、小さいコップに一杯。一日が驚くほど活気を呈して来る。とくに真夏の朝、食事のいけぬ時に妙である。
 夏の朝々は、私は色々と風変りな朝食を愉しむ。「飯」を食べる場合は、焚(た)きたての熱いのに、梅干をのせて、冷水をかけて食べるのも好き。春夏秋冬、焚きたてのキリキリ飯はうまいものです。飯は寝てる飯より、立ってる飯、つやのある飯、穴ぼこのある飯はきらい。子供の寝姿のように、ふっくり盛りあがって焚けてる飯を、櫃(ひつ)によそう時は、何とも云えない。味噌汁煙草(たばこ)のみのひとにはいいが、私のうちでは、一ヶ月のうち、まず十日位しかつくらない。あとはたいてい、野菜とパンと紅茶味噌汁御飯食べるのは、どうしても冬の方が多い。
 これからはトマトも出(で)さかる。トマトはビクトリアと云う桃色なのをパンにはさむと美味(うま)い。トマトをパンに挟む時は、パンの内側にピーナツバタを塗って召し上れ。美味きこと天上に登る心地。そのほか、つくだ煮の類も、パンのつけ合せになかなかおつなものです。マアマレイドは、たいてい自分の家でつくる。
 私は缶詰(かんづめ)くさいマアマレイドをあまり好かないので、買うときは瓶詰(びんづ)めを求めるようにしている。ありがたいことに、このごろ、酢漬けの胡瓜も、日本でうまく出来るようになったが、あれに辛子ちょっとつけて、パンをむしりながら砂糖のふんだんにはいった紅茶をすするのも美味い。そのほか私の発明でうまいと思ったものに、パセリの揚(あ)げたのをパンに挟むのや、大根の芽立てを摘(つ)んだつみな、夏の朝々百姓が売りに来るあれを、青々と茹(ゆ)でピーナツバタに和(あ)えてパンに挟む。御実験あれ。なかなかうまいものです。――梅雨時(つゆどき)の朝飯は、何と云っても、口の切れるような熱いコオフィと、トオストが美味のような気がします。
 朝々、バタだけはふんだんに召上れ。皮膚(ひふ)のつやがたいへんよくなります。外国では、バタをつかうこと日本醤油の如くです。バタをけちけちしてる食卓はあまり好きません。――日曜日の朝などは、サアジンとトマトちしゃのみじんにしたのなどパンにもよく、御飯にもいい。
 朝々のお茶の類は、うんとギンミして、よきものを愉しむ舌を持ちたいものだ。茶の淹れかたも飯の焚きかたといっしょで心意気一つなり。コオフィにはなまぐさものの類、魚、野菜何でも似合わないような気がして、たいていの、ややこしい食事の時は紅茶にしている。但し、肉類をたべたあとの、つまり食後のコオフィはうまいものです。食事と茶と添う時は、まず紅茶の方だろうと思うけれど、如何(いかが)でしょう――。

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 このあいだ高見順さんの「霙降る背景」と云う小説を読んでいたら、郊外待合(まちあい)で朝御飯食べるところが描写してあった。なかなか達者な筆つきで、如何(いか)にも安待合の朝御飯がよく出ていたが、女主人公が、御飯茶の味でその家の料理のうまいまずいがわかると云うところ、私もこれには同感だった。
 私は方々(ほうぼう)旅をするので、旅の宿屋でたべる朝飯は、数かぎりもなく色々思い出がある。


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