机と布団と女 関連リンク

坂口 安吾 のオススメ作品

作家別索引

作品別索引

机と布団と女 - 坂口 安吾 ( さかぐち あんご )

  • 送料無料/20色/8点ダブル羽根布団セット/組布団掛け布団敷布団枕
  • 送料無料ダブル羽根布団セット組布団掛け布団敷布団枕ふとん寝具
  • 送料無料セミダブル羽根布団セット組布団掛け布団敷布団枕ベッド
  • ◆羽根布団8点ダブル【Plume】枕カバー掛け布団敷き布団/組布団
  • ◆羽根布団8点ダブル【Plume】枕カバー掛け布団敷き布団/組布団
  • 7点セットくまのプーさんお昼寝ベビー布団バック付掛布団敷布団
  • 組布団 羽毛布団セット 羽毛掛け布団カバー ベッドパッド キング
  • ★こたつ掛敷布団 掛布団&敷布団セット 長方形 和風赤とんぼ★
  • 新生活値下げ★羽根布団ダブルセット10点 肌掛け布団枕敷き布団
  • 新品 お昼寝シーツ(掛け布団&敷布団2枚セット)保育園 布団
次のページ
 小説新潮新年号に、林忠彦撮影した私の二年ほど掃除をしたことのない書斎写真が載ったから、行く先々で、あの部屋のことをきかれて、うるさい。しょっちゅうウチへ遊びにきていた人々も、あの部屋知ってる人はないのだから、ほんとに在るんですか、見せて下さい、と云う。見世物じゃないよ。
 林忠彦は私と数年来の飲み仲間で、彼は銀座のルパンという酒場事務所代りにしているから、そこで飲む私と自然カンタン相照らした次第で、このルパンでも、彼は四五枚、私を撮(うつ)した筈である。小説新潮太宰治の酔っ払った写真もこゝで撮したものだ。
 ルパンで撮した私の四五枚のうちに、一枚、凄い色男に出来上ったのがあり、全然別人の観があるから、私はこの上もなく喜んで、爾来この一枚をもって私の写真決定版にするから、と林君にたのんで、たくさん焼増ししてもらった。
 私は写真にうつされるのがキライである。とりすますから、いやだ。それで、新聞雑誌社から写真をうつさせてくれと来るたびに、イヤ、ちゃんと撮してあるから、それを配給致そう、と云って、例の色男を配給してやる仕組みにしている。
 林忠彦は、これが気に入らない。あれは全然似ていないよ。坂口さんはあんな色男じゃないよ。第一、感じが違うんだ、と云って、ぜひ、もう一枚うつさせろ、私は彼の言い方が甚だ気に入らないのだけれども、衆寡敵せず、なぜなら、色男の写真全然別人だというのは定説だからで、じゃアいずれグデングデンに酔っ払って意識せざる時に撮させてあげると約束を結んでいたのである。
 ところが彼は奇襲作戦によって、突如として私の自宅を襲い、物も言わず助手と共に撮影の用意をはじめ、呆気にとられている私に
坂口さん、この写真機はね、特別の(何というのだか忘れたが)ヤツで、坂口さん以外の人は、こんな凄いヤツを使いやしないんですよ。今日は特別に、この飛び切りの、とっときの、秘蔵の」
 と、有りがたそうな呪文をブツブツ呟きながら、組み立てゝ、
「さア、坂口さん、書斎へ行きましょう。書斎へ坐って下さい。私は今日原稿紙に向ってジッと睨んでいるところを撮しに来たんですから」
 彼は、私の書斎が二ヶ年間掃除をしたことのない秘密部屋だということなどは知らないのである。
 彼はすでに思い決しているのだから、こうなると、私もまったく真珠湾で、ふせぐ手がない。二階へ上る。書斎の唐紙をあけると、さすがの林忠彦先生も、にわかに中には這入られず、唸りをあげてしまった。
 彼は然し、写真気違いである。彼は書斎を一目見て、これだ! と叫んだ。
坂口さん、これだ! 今日日本一写真をうつす。一目で、カンがあるもんですよ。ちょッと下へ行って下さい。支度ができたら呼びに行きますから」
 と、にわかに勇み立って、自分アトリエみたいに心得て、私を追いだしてしまった。写真機のすえつけを終り、照明の用意を完了して、私をよびにきて、三枚うつした。右、正面、その正面が、小説新潮写真である。
 昨日、未知の人から、こんな年賀状をもらった。
 新年おめでとうございます。
 どうも先生は私より二十何年か先輩でありますから、大兄もヘンだし、安吾さんもおかしい。失礼と存じまして、先生と呼んだんで、根が小心者なので、呼び方から、おッかなびっくり、然し今日二十三年の一月二日、大変よい日と思いましたのは、書きぞめの日だからであります。
 先生作品はだいたいに私の気持と共通し、安吾もなかなかヤリおると深い感動に打たれておりますが、まだいくつも読んでいません。なぜなら、雑誌二十円は高い。単行本にまとめて読んでやろうと思っていると、七十円八十円では、私はルンペンだから手が出ず、借りて読むという手があるから、マア、だいたい読んでる次第です。(中略)
 しかし、先生正直ですね。おだてるのではないが、全く、正直ですよ。そのショウコが、昨年三十一日、私は小説新潮を見ました。モウレツな勢いで机に向っているのが出ていました。写真がですよ。机の四方紙クズだらけで、フトンもしきっぱなしになってました。
 私は見ているうちにニヤニヤしました。やってるな、なかなか、いいぞ。あのフトンの上に女の一人も寝ころばしておけば、まア満点というもんだが、安吾もそこまで手が廻らんと見える。けれども、とにかくいいぞ。度の強い眼鏡の中の鋭い目玉、女たらし然と威張った色男。ちょッといけますな。この意気、この意気。
 先生小説が騒々しいのによく似てる。ガサツな奴は往々にして孤独をかくしているという、それなんですね、先生は。


次のページ

坂口 安吾 (さかぐち あんご) 以外のオススメ作品

机と布団と女 (つくえとふとんとおんな) のリンク元

「机と布団と女-坂口 安吾」の関連ページ


関連ページ
Web Services by Yahoo! JAPAN