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煎じ詰めれば - 桐生 悠々 ( きりゅう ゆうゆう )

  • 即決●10/3(日)●綾小路きみまろ●桐生市市民文化会館●2or4枚
  • 即決★10/3(日)★綾小路きみまろ★桐生市市民文化会館★2or4枚
  • 千年世紀末の大予言 桐生操 角川ホラー文庫32
  • ☆売り切り☆スバル☆多目的ダンプ☆製造は桐生工業株式会社☆
  • ■10/3(日)群馬県桐生市■綾小路きみまろ爆笑ライブ■2枚or4枚
  • ☆本当は恐ろしいグリム童話Ⅱ☆桐生操☆小説☆
  • 桐生祐狩「夏の滴」日本ホラー小説大賞☆初版帯
  • 売切■サンバー■多目的ダンプ■桐生工業製造■Tベルト交換済み
  • ★桐生 操 文庫k33「世界の名画 禁断のミステリー」初版★
  • 本当は恐ろしいグリム童話 桐生操 KKベストセラーズ
 、理想現実との衝突である。我は理想を見つめて、しかも漸次にこれを進まんとしているにも拘らず、彼等は現実執着して、唯その直面する難局を打開し得れば、それで以て足れりとしているのだ。
 だから、煎じ詰めれば、未来現在との衝突でもある。我はワンズマンの修正により、進化論の適者を以て未来の状況に適応する者としているに反して、彼等はダーウィン正統進化論により、唯現在の状況に適応するものを以て適者としている。従って、我は未来の向上を重しとし、現在利益未来幸福のため、犠牲に供することを辞さないにも拘らず、彼等は唯現在に於て、一時的なる利益を得れば、未来幸福を捨てて顧ない。
 だから、煎じ詰めれば、新体制と旧体制との衝突でもある。彼等は彼等みずからを以て新体制の人なりとしているけれども、憐れむべし、彼等は現在より一歩も出ずることを知らず、甚しきに至っては、過去伝統その物に囚われて、未来予知し得ない。流行を逐うこと唯その事を新体制として、真の新体制が未来の、少くとも来りつつある世界の大勢を察して、これに適応せんとする態度なることを知らず、僭越にも彼等みずからを以て新体制の人なりとしている。彼等は後退せんとし、我は前進せんとしている。彼等は保守的にして、我は進取的である。
 従って彼等は国家主義者民族対立主義者であって、コスモポリタンなる我を解する能わず、国家または民族の一員としてその義務を尽すに忠実なりと雖も、「恭倹己を持し、博愛衆に及ぼす」超国家的、超民族的にして、彼等のいうところ「八紘一宇」の一大理想その物を、かえってみずから破壊せんとしている。
 人類として、彼等は固より良心的にこれを知る。だが詭弁を弄して云う、かかる超国家的、超民族的なる時代恐らく永久に到達せざるべしと。或は然らん。だが、それ故にこそ、我はかえってこの理想を掲げて進むのである。人間にして動物の如く教うべからざれば則ちやむ、教え得れば、教え教えて、彼等をこの境地に進め入らしむるのは決して不可能ではない。原始人教育経験とを通して、如何にして今日文明人となったかの跡をたずぬれば、想い半に過ぐる。
 だから、煎じ詰めれば、彼等と我との意見衝突は、悲観と楽観との衝突である。彼等は人間を以て教うべからざる動物とし、我はこれを以て教うべき動物とし、彼等は陰鬱なる世界の現状を以て、如何ともすべからざるものとなし、その極、人類の自滅にも甘んずるに反して、我は明朗なるべき世界未来を期待して、人類にその愚を悟らしめつつ、これをこの境地に導かんとしているのである。
 だが、如何せん、彼等は国家権力を擁して、我に臨みつつあることを。そして彼等は我をして具体的には物を言わしめない。我のみではない。我等に物を言わしめない。その結果は推して知るべきであって、今や各個人流行を過ぐればもう人の口に上らなくなった「全体主義」の下に生活しながら、積極的個人主義より、消極的個人主義に堕し、未来光明を失わんとしつつある。(昭和十六年八月)



底本:「畜生道地球中公文庫中央公論社
   1989(平成元)年10月10日発
底本の親本:「畜生道地球」三啓社
   1952(昭和27)年7月
入力:門田裕志
校正:Juki
2005年5月12日作成
青空文庫作成ファイル
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