異質触媒作用 関連リンク

寺田 寅彦 のオススメ作品

作家別索引

作品別索引

異質触媒作用 - 寺田 寅彦 ( てらだ とらひこ )

  • SXV20マーク2クオリス/カムリグラシア純正フロントマフラー/触媒
  • S2000(AP1)触媒ストレートパイプ中古美品
  • 『FIATクーペ 20V 175A3/触媒 キャタライザー』部品取車有☆彡
  • FD3S ナイトスポーツ製メタリット、スポーツ触媒!!
  • イングスフルエアロ EXマニ スポーツ触媒 HDDナビ 
  • 稀少 W124 230E 純正キャタライザー 触媒 センサー付
  • 872・ミラ L502S JBEL 触媒、エキマニ&センサー付き
  • 触媒・V8・5.7L・シボレー・カマロ・Z28・95y
  • 『402』TB381 サンダーバード,触媒うしろのセンサー, d-
  • 『402』TB381 サンダーバード,触媒前のセンサー, d-
次のページ
      一 帝展  帝展洋画部を見ているうちに、これだけの絵に使われている絵具(えのぐ)の全体の重量大変なものであろうと考えた。その中に含まれている Pb と Zn だけでも夥(おびただ)しいものであろうと思われた。こんな事を考えるほどに近頃はこうした展覧会の絵に興味を失ってしまったのである。批評などする気にはなれそうもない。
 日本画西洋画の区別が年と共にいよいよ分からなくなって来た。画の主題でも描法でも両方から互いに接近し模倣し入乱れて来ている。それだのにそうかと云って、洋画家で絵絹へ油絵具を塗る試みをあえてする人、日本画家カンバス日本絵具を盛り上げる実験をする人がないのはむしろ不思議なくらいである。
 洋画を通じてルソーやマチスや、ドランやマルケーなどのようなフランス絵の影響がこっそり日本画の方へ入り込んでいるのを発見する。日本芸術フランスを一と廻わりして後にもう一遍日本へ帰って来たのである。
 洋画でも日本画でも人物の顔をなるべくスチューピッドに描く事が近年の流行のようである。悪趣味であると思う。これが東京音頭(おんど)の流行となんらかの関係があるかどうかは不明であるが多少の関係があるかもしれない。
 洋画の方に「測候所」があると、日本画の方にも「測候所」及び「海洋気象台」がある。ガードやガソリンスタンドなども両方にある。それだのに、洋画の方には鎧武者(よろいむしゃ)や平安朝風景がない。これも不思議である。
 帝展には少ないが二科会などには「胃病患者の夢」を模様化したようなヒアガル系統の絵がある。あれはむしろ日本画にした方が面白そうに思われるのに、まだそういう日本画を見ない。これも意外である。
 デパートのマークを付けたために問題になった絵が、洋画部でなかったことも偶然なようで自然である。あれはともかくも弁護の余地のない全く広告びら向きの絵のように思われた。広告びらの版画でも絵がよければ芸術であり、アメリカ人が高い金を出して買うのであるが。
 彫刻部の列品は、もしか貰ったらさぞや困ることだろうと思うものが大部分であるが、工芸品の部には、もし沢山に金があったら買いたいと思うものが少しはある。
 来年あたりから試しに帝展の各室に投票函を置き、「いけない」と思う絵を観客自由に遠慮なく投票をさせて、オストラキズムの真似をしたらどうかと思う。推賞する方の投票だと「運動」が横行して結果無意味に終るにきまっているが、排斥する方の投票だと、その結果は存外多少の参考になるかもしれない。そうして最後に残った絵だけをもう一遍陳列してみたらどんなことになるか。これは試しに一度やってみる価値があるかもしれない。

      二 ヨーヨーコリントゲーム

 ヨーヨーがすたれて、コリントゲームがいまだに残存している。
 ヨーヨー力学的の玩具である。これの運動の解明は古典力学だけで間に合う。しかしコリントゲームの方には公算的統計的の要素が入り込む。前者では因果連鎖が一筋の糸でつづいているが、後者では因果中間に蓋然(プロバビリティ)の霧がかかっている。それで、前者では練習さえ積めばかなりの程度までは思いのままにあらゆる有様を再現することが出来るが、後者の方では二度と同じ結果を出すまでに何度試みを繰返さなければならないかを、確実に予言することが出来ない。
 それだからヨーヨーは生真面目で、人を緊張させる傾向があり、コリントはどこかとぼけていて人を笑わせる。そうして前者個人的であり、後者は衆団的である。
 夏の頃、神田夜店の中に交じってコリント台を並べて客を待っているおばさんおじさん数え切れないほどあった。こわい顔のおじさんや、浮かぬ顔をした小僧さんのところよりはやはり愛嬌のいいおばさんの台にお客が多くついているようである。鉄球をころがしているお客も、見物している人達も、番をしている商人も一処になって時々笑い出す。天下泰平の趣がある。ヨーヨー緊張時代のあとにコリントゲームの弛緩(しかん)時代がめぐって来たものと見える。
 三原山投身者もこの頃減ったそうである。

      三 へリオトロープ

 よく晴れた秋の日の午後室町(むろまち)三越前電車を待っていた。右手の方の空間何かキラキラ光るものがあると思ってよく見ると、日本橋南東側の河岸に聳(そび)え立つあるビルディング壁面を方一尺くらいの光の板があちらこちらと這い廻っている。それが一階の右の方の窓を照らすかと思っていると急に七階の左の方へ飛んで行く。そうかと思うと、ゆらゆらとゆれ動きながら三階の窓を片端から順々に照らして行くのである。誰か旧|魚河岸(うおがし)の方の側で手鏡日光に曝(さ)らしてそれで反射された光束を対岸のビルディングに向けて一人で嬉しがっているものと思われた。こういういたずらがいかに面白いものであるかはそれを経験したもののよく知るところである。小学中学時代校舎の二階の窓から向う側の建物の教場を照らして叱られた人も少なくないであろう。このいたずらの面白味は「光束」という自由自在の「如意棒(にょいぼう)」を振廻わして、人間に手の届かぬ空間の好きなところへ探りを入れ引掻き廻わし得られるところにある。このいたずら利用したものの例としては三角測量の際に遠方の三角点から光の信号を送るへリオトロープがあり、その他色々光束色々信号に使われるのは周知のことである。


次のページ

寺田 寅彦 (てらだ とらひこ) 以外のオススメ作品

異質触媒作用 (いしつしょうくばいさよう) のリンク元

「異質触媒作用-寺田 寅彦」の関連ページ


関連ページ
Web Services by Yahoo! JAPAN