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白井明先生に捧ぐる言葉 - 坂口 安吾 ( さかぐち あんご )

  • 古書≪森鴎外集≫7 青年、舞姫他 【 森鴎外】河出書房 貴重 初版
  • 「森鴎外私論」吉野俊彦 森鴎外評論-批評-書籍・10冊 N21681
  • 岩波文庫1675昭和41年/阿部一族他二編森鴎外 岩波書店
  • 600円~ 岩波文庫【青年】森鴎外 (プチソフト1)
  • ◆◇森鴎外著「舞姫・山椒大夫  他四篇」(旺文社文庫)◇◆
  • ◆◇ 森鴎外著「青年」(新潮文庫) ◇◆  名著! 
  • ◆◇森鴎外著「舞姫・うたかたの記  他三篇」(岩波文庫)◇◆
  • ◆新品DVD★『NHK 名作の風景 8』森鴎外 正岡子規 夏目漱石1円
  • 森鴎外 高瀬舟・高瀬舟縁起・寒山捨得・寒山捨得縁起 CD 未開封
  • 森鴎外 舞姫 雁 井上靖 訳編 明治の古典8 初版
 先ごろの本欄に僕の「風報」にかいた「天皇陛下に捧ぐる言葉」を評して俗うけを狙った媚態露出だとのことであるが、白井明先生の鑑賞眼は浅薄低俗と申さなければならない。  あの文章にこもる祖国へよせる僕の愛情や、あれを書かずにいられなかった情熱読みとることができないとは、白井先生が頃日書く意味もない駄文ばかり書いてるせいなのである。
 いったいに文学反語性に味読の及ばぬ識見低俗なヤカラが文学批評するというのが間違っている。僕の「堕落論その他エッセイにしても、小説にしても、その反語にこもる正しい意味理解し得ずに、軽率な判読断定を下すから、読者に誤読のお手本を与えているようなものである。
 本名では愚かしいソラゴトしか書けず、匿名でしか本音の吐けぬ文学者などというものはない。
 僕には匿名の必要はない。いつでも本音を吐き、ギリギリのことを言ってるからだ。だから、また、ぼくの本音文学本質的なものであり、単なる中傷のケチくさい汚らしさはないのである。
 白井明先生も、本名本音を吐くことを学びたまえ。本名で、君のケチ、アサマシサ、をさらけだすことの苦痛に堪えて、その争いの嵐の中で自分を育てたまえ。さすれば、文学本質にも、やがて近づきうるであろう。
天皇陛下にさゝぐる言葉」にこもる大いなる愛情もやみがたい情熱も、君の目には逆の意味にうつるのも、きわめて当然なことである。しかし、こういう愚にもつかない批評でもそれが君の本音なら仕方がないから、せめて本名で書かれんことを。さすれば、進歩はありうるであろう。



底本:「坂口安吾全集 06」筑摩書房
   1998(平成10)年7月20日初版第1刷発行
底本の親本:「読売新聞 第二五五八五号」
   1948(昭和23)年3月22日
初出:「読売新聞 第二五五八五号」
   1948(昭和23)年3月22日
入力:tatsuki
校正小林繁
2007年4月24日作成
青空文庫作成ファイル
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