風 関連リンク

竹久 夢二 のオススメ作品

作家別索引

作品別索引

- 竹久 夢二 ( たけひさ ゆめじ )

  • CD◆美輪明宏/日本の心を歌う◆絵・中原淳一竹久夢二歌謡曲
  • ★ ・・・・・ 竹久夢二画と、蓄音機、2000円分、80円×25 ★
  • 玉野競輪 竹久夢二 クオカ
  • 絶版★藤村の童話全4巻セット 挿絵:竹久夢二 筑摩書房 島崎
  • c 【即決】初版★竹久夢二『乙女詩集・恋』生誕125年記念出版
  • ■竹久夢二 夢桜■盛鉢×取分皿■6点セット■新品未使用■
  • ■即決【☆】竹久夢二 夢彩 小皿付丼揃 器を選ぶ贅沢◇日本製◇
  • ●即決!竹久夢二/細野正信:カラーブックス
  • ■竹久夢二■雑草■昭和16年初版・函■時代社
  • ★春・夢二童話集 竹久夢二★
 が、山の方から吹いて来ました。学校先生がお通りになると、街で遊んでいた生徒|達(たち)が、みんなお辞儀をするように、が通ると、林に立っている若い梢(こずえ)も、野の草も、みんなお辞儀をするのでした。
 風は、街の方へも吹いて来ました。それはたいそう面白そうでした。教会十字塔を吹いたり、煙突の口で鳴ったり、街の角を廻(まわ)るとき蜻蛉(とんぼ)返りをしたりする様子は、とても面白そうで、恰度(ちょうど)子供達が「鬼ごっこするもん寄っといで」と言うように、「ダンスをするもん寄っといで」といいながら、風の遊仲間(あそびなかま)を集めるのでした。
 風が面白そうな歌をうたいながら、ダンスをして躍廻(おどりまわ)るので、干物台のエプロンや、子供着物もダンスをはじめます。すると木の葉も、枝の端で踊りだす。街に落ちていた煙草(たばこ)の吸殻も、紙屑(かみくず)も空に舞上(まいあが)って踊るのでした。
 その時、街を歩いていた幸太郎(こうたろう)という子供帽子が浮かれだして、いつの間にか、幸太郎(こうたろう)の頭から飛下りて、ダンスをしながら街を駆けだしました。その帽子には、長いリボンがついていたから、遠くから見るとまるで鳥のように飛ぶのでした。幸太郎は、驚いて、「止れ!」と号令をかけたが、帽子は聞えないふりをして、風とふざけながら、どんどん大通りの方までとんでゆきます。
 一生懸命に、幸太郎追っかけたから、やっとのことで追いついて、帽子のリボンを押えようとすると、またどっと風が吹いてきたので、こんどはまるで輪のようにくるくると廻(まわ)りながら駆けだしました。
坊ちゃん、なかなかつかまりませんよ。」
 帽子が駆けながらいうのです。
 すると、こんどは大通(おおどおり)から横町の方へ風が吹きまわしたので、幸太郎帽子も、風と一しょに、横町へ曲ってしまいました。そしてそこにあったビール樽(たる)のかげへかくれました。
 幸太郎は大急ぎで、横町の角まできたが、帽子は見つかりません。
「ぼくの帽子がないや」
 幸太郎は、もう泣きだしそうになって言いました。帽子をつれていった風も、幸太郎を気の毒になってきて、
坊ちゃん、私が見つけてあげましょう。」
 そういって、ビール樽のかげの帽子のしっぽを、ひらひらと吹いて見せました。幸太郎は、すぐ帽子のある所を見つけました。
万歳!」
 幸太郎は、帽子尻尾(しっぽ)をつかんで叫びました。
「風やい、もう取られないぞ!」
 幸太郎は、帽子のつばを両手で、しっかり握っていいました。
「ほう、ほう」風はそう言いながら、飛んで行きました。
 エプロンも、木の葉も、紙屑(かみくず)もまたダンスをしていたけれど、幸太郎帽子はもうダンスをしませんでした。



底本:「童話集 春」小学館文庫小学館
   2004(平成16)年8月1日初版第1刷発行
底本の親本:「童話 春」研究社
   1926(大正15)年12月
入力:noir
校正:noriko saito
2006年7月2日作成
青空文庫作成ファイル
このファイルは、インターネット図書館青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力校正制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。


竹久 夢二 (たけひさ ゆめじ) 以外のオススメ作品

風 (かぜ) のリンク元

「風-竹久 夢二」の関連ページ


関連ページ
Web Services by Yahoo! JAPAN